自動車事故で全損の買い替え諸費用請求の判例まとめ

保険会社は示談交渉の最初の段階では、車両買い替え諸費用を認めませんが、実際の裁判で車両買い替え諸費用を請求した場合、ほぼ100%近い確率で認められています。

「新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買換諸費用は車両の取得行為に付随して通常必要とされる費用の範囲内で損害として認められる。」

【東京地判H13-12-16(4)交通民集第34巻6号1687頁】

そのため、買い替え費用は積極的に請求していきましょう。これからご紹介する裁判例を印刷して提示してもいいです。

買い替え費用が裁判で認められないのは根拠のない請求のケースのみ

「原告は、車両買替諸費用として5万円の主張をするが、その内訳は不明である上、それを裏付ける資料も何ら提出していないのであり、原告の主張を認めるに足りる証拠はない。」

【東京地判H25-1-23判例集未登載】

「原告会社が夏子車両の代替車両を購入した事実及びその費用、・・・を認定するに足りる証拠はないから、原告会社のその余の損害は認められない。」

【名古屋地判H25-10-24交通民集第46巻5号1381頁】

買い替え費用の内訳が書かれている立証書類をしっかり用意できれば、認定されるものとお考えください。但し、事故当時の車と同等の車の買い替えにかかる費用となりますので、ご注意ください。

裁判で認められる買い替え費用・認められない買い替え費用

認められる買い替え費用

  • 自動車重量税
  • 車検整備費用
  • 検査登録費用
  • 車庫証明法定費用
  • ナンバープレート代

「原告者は本件事故により経済的全損の状態になったから、以下の買換えのための登録関係手続費等合計38万7,140円は本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。(※自動車重量税は7万5600円が認められた)」

【東京地判H17-2-8判例集未登載】

「(検査登録費用、車庫証明)これらは車両を取得する都度支出を余儀なくされる法廷の費用であり、本件事故による損害と認める。」

【東京地判H13-12-26交通民集第34巻6号1687頁】

「検査登録手数料、車庫証明手数料、下取車登録手続費用及び自動車フロン券購入費用等については、車両を購入する都度支出を余儀なくされる法廷の費用であり、本件事故による損害と認める。なお、上記各費用は、新車と中古車とで差異はない。」

【福岡地折尾簡判H16-1-22判例集未登載】

「原告らの主張する標判代は、車両登録時に通常必要とされる費用であると認められることから、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。」

【大阪地判H24-6-14自ジャ1883号150頁】

認められない買い替え費用

  • 自動車税(月割で返戻されるため)
  • 自賠責保険料(月割で返戻されるため)
  • 増加自動車保険料(事故と直接関係ないため)

「事故車および新規取得車の自賠責保険料、新規取得車の自動車税については、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。」

【大阪地判H18-2-23交通民集第39巻1号269頁】

「本件事故により全損となった原告車両の車検証有効期限のみ経過部分に相当する自動車税については、還付を受けることができるのであるから、やはり損害とは認められない。」

【東京地判H18-8-9判例集未登載】

「原告が自身の加入する車両保険金を受領して早期の被害回復を図るか、被告から適正な損害賠償金を得て被害回復を図るか、は、原告自身の選択の問題であって、前者を選択した結果、保険料が増額したとしても、これをもって、本件事故による損害と認めることはできない。」

【東京地判H13-12-26交通民集第34巻6号1687頁】

容認または否認される費用

  • 自動車取得税
  • 「(自動車取得税)は、自動車を取得するに当たって必要な経費であるから、再取得費用として認められる。」

    【東京高判H23-12-21自ジャ1535号6頁】

    「買い替えに伴う費用のうち、自動車税及び自動車取得税はその性質上原告自身が負担すべきものであるから本件事故と相当因果関係のある損害とは認められないが、その余は本件事故と相当因果関係のある損害と認める。」

    【東京地判H26-4-23交通民集第47巻2号540頁】

  • 検査登録手続きなど各種手続き代行費用
  • 納車費用
  • 「(手続き代行費用、納車費)これらは、販売店の提供する労務に対する報酬であるところ、車両を取得する都度、検査登録、車庫証明手続、納車が必要となり、車両購入者が通常それらを販売店に依頼している実情を考慮すると、これらの費用を買換に付随するものとして賠償の対象とするのが相当である。」

    【東京地判H13-12-26(4)交通民集第34巻6号1687頁】

    「登録手続関係費用のうち、検査登録手続代行費用1万7,514円、車庫証明手続代行費用1万3,545円及び納車費用8,379円は、自らできる手続きであるから、相当因果関係の損害とは認められない。」

    【東京地判H24-3-27(1)交通民集第45巻2号405頁】

  • 廃車費用
  • 「原告は、廃車手続き一式として3万1,500円を支出したことが認められるところ、車両がいずれ歯医者になるとしても、車両の買い替えのため廃車手数料が必要になったのは本件事故によるものであると認められるので、廃車料3万1,500円について損害として認めることが相当である。」

    【東京地判H18-3-29判例集未登載】

    「廃車費用は、廃車時期を早めたことに対する損害で相当因果関係を欠くとの主張を退け、解体費用等4万7500円を損害として認めた。」

    【大阪地判H16-2-13交通民集37巻1号192頁】

全損買い替え費用請求の結論

基本的に還付されるものは認められません。また、事故車で支払い済みの未経過費用と新車購入時の費用とは分けて考える必要があります。

例えば、自動車重量税は事故車の未経過分の重量税は還付されるため裁判でも否認されますが、代替車購入時にかかる自動車重量税は容認されるのが通常です。

尚、保険会社に請求する際は見積書を提出するのが一般的なので、例え購入しなくとも、事故車と同等の車の見積もりを提出するようにしてください。

事故車と違う車であれば、裁判でも否認されるとお考えください。

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