土地の贈与税は3,600万円までは無税ってホント?【簡単計算シュミレーション】

土地の贈与税は
3,600万円までは無税ってホント?

・・・

・・・

・・・嘘です。

3,600万円まで無税というのは相続税のことで、贈与税は「暦年課税制度」といって年間110万円までしか無税になりません。

土地の価値が110万円以下というのは現実的ではないため、土地は贈与するより相続したほうが税金は安くなります。そのため、土地は贈与より相続が基本です。

具体的にみていきましょう。

贈与税には「60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫への贈与」という条件で、2,500万円まで贈与税が課税されない「相続時精算課税制度」もあります。

例えば、2,000万円の土地を贈与した場合、贈与税は無税ですが、相続する際に2,000万円が相続税として計算されます。

相続税は土地以外にも建物・預貯金など全財産を合算して計算しますが、最低3,600万円の基礎控除があるので、2,000万円の土地含め相続財産が3,600万円以下なら相続税も無税になります。

そのため、「60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫への贈与」の条件にあてはまるなら、「相続時精算課税制度」を利用するのがいいでしょう。

ただし、「相続時精算課税制度」を使うと年間110万円以下の贈与は無税になる暦年贈与が使えず、今後の贈与は毎年、税務署に申告手続きしなければいけなくなります。

更に、相続した土地(330㎡上限)にかかる相続税を最大80%減額する小規模宅地等の特例も利用できないデメリットがあるので、結論、贈与するメリットは少ないです。

実際、相続時精算課税制度を活用する場合には、建物のみを贈与し、土地については贈与しないことが一般的です。

土地の贈与税の計算方法

贈与税の計算は、特例贈与財産(親や祖父母から20歳以上の子供や孫への贈与)と、それ以外の一般贈与財産とで税率が変わりますが、前者の方が税率は低くなります。

【特例贈与財産の税率】
課税対象額 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
課税対象額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

例えば、特例贈与財産のケースで計算してみましょう
  • 贈与人:父 ⇒ Aさん(20歳以上の子)
  • 土地評価額:1,500万円
  • 基礎控除額:110万円(暦年課税)

STEP.1
課税対象額を計算
課税対象額は1,390万円(1,500万円 – 110万円)となります。
STEP.2
贈与税を計算する
1,390万円 × 税率40% – 190万円 = 366万円

よって、Aさんの贈与税は366万円となります。高いですよね。。。

一方、相続するなら3,600万円の基礎控除内で無税です。贈与税366万円と同程度の支払いになるのは、土地含めた相続財産が約8,000万円です。

注意
相続税は土地・預貯金含めた遺産総額をベースに計算するため、土地だけの相続税を算出することはできません。

相続税の計算方法を詳しく知りたい方は下記をクリック。

相続税の計算式は贈与税とほとんど同じです。

【相続税の税率】
課税対象額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1200万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円
例えば、このケースで計算してみましょう
  • 相続人:母・長男・長女
  • 父の遺産総額:8,000万円(土地含めた相続財産)
  • 基礎控除額:4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人)

※基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」で計算する。

STEP.1
課税対象額を計算
課税対象額は3,200万円(8,000万円 – 4,800万円)となります。
STEP.2
遺産分割する

  • 母:  3,200万円 × 1/2 = 1,600万円
  • 長男: 3,200万円 × 1/4 = 800万円
  • 長女: 3,200万円 × 1/4 = 800万円

STEP.3
相続税を計算
※先ほどの表をもとに計算。

  • 母:  1,600万円 × 税率15% – 50万円 = 190万円
  • 長男: 800万円 × 税率10% = 80万円
  • 長女: 800万円 × 税率10% = 80万円

よって、家族の相続税の総額は350万円となります。

MEMO
相続人全員の合意があれば遺産分割せず、例えば長男が100%、相続することもできます。その場合、課税対象額3,200万円で計算するため、長男の相続税は440万円となります。

【結論】土地の評価額次第で考えればいい

相続税より贈与税の方が高い。この事実を知れば、多くの方が贈与ではなく相続を選びます。

実際、国税庁の発表した資料によると、平成30年に土地含め、相続税の課税対象になった人は8.3%しかいません。

ただ、贈与にしろ相続にしろ、土地の評価額が分からないと具体的な税額は算出できないので、どちらを選ぶかは土地の評価額次第です。

評価額次第では、贈与や相続ではなく、売却して現金化した上で、毎年110万円以下で贈与する形にする方が、シンプルで良いかもしれません。

なので、すべては土地の評価額を算出してからですね。

土地の評価額は「時価 × 0.8」で計算できる

土地の正確な評価額は複雑なため、通常、不動産鑑定士や税理士に有料で依頼して査定します。ですが、非常に手間のかかる作業なので、時間がなくとりあえず概算金額だけ分かればOKであれば、次の方法で誰でもカンタンに算出できます。

【2STEP】カンタン計算方法
STEP.1
1分で土地の評価額を算出
こちらのサイトから、質問に沿って土地の情報などを入力し、土地の時価(市場で取引される実勢価格)を算出してもらいます。

※上記サイトは、相続税計算サービスではなく、不動産査定サービスとなります。

STEP.2
売却価格 × 0.8
算出価格に0.8を掛けます。その価格が「土地の評価額」になります。

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・・・めちゃくちゃ簡単ですよね?

あとは、上述した計算方法で贈与税・相続税を計算したうえで、どうすべきかを検討したらOKですよ。

無料で簡単に調べられるので、とりあえず、利用してみてください。

※あくまでも机上査定のため、家族にも内緒で査定できます。
MEMO
正確な評価額が知りたい場合は、最後の「訪問査定を希望しますか?」の項目で「はい」を選択したらOKですよ。