住宅を売却する時に最も気になるのが、設定価格で買ってもらえるのかということです。買主は当然、購入した後で欠陥で使い物にならなかったということを恐れます。
そこで、売主が買主に安心して購入してもらえるようにする有効なシステムが「インスペクション」です。
インスペクションとは?
インスペクションを日本語に訳すと、「点検、検査」になります。つまり、中古住宅の状態を点検、検査することであり、特に住宅の構造や耐力、雨水の浸入、床下の腐食などを専門家がチェックします。
宅地建物取引業法の規定では、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が検査を実施し、検査方法は国の定めた既存住宅状況調査方法基準に則って行われます。
検査の対象
インスペクションの検査対象となるのは、築年数が2年を超えた住宅であり、且つ居住に使用された住宅です。従って、店舗や事務所などは検査の対象外となります。検査を行う場所としては、基本的に基礎や土台、柱、壁などの構造耐力上の主要部分と、屋根や外壁、床版などの雨水の浸入防止部分です。
インスペクションによって、家の傾きや雨漏りの有無、シロアリによる床下の腐食などが判明します。また、居住用として適切な品質を備えているのかが確認できます。
検査方法
検査は目視を中心に、触診、打診などによって行われます。その他、簡易的な計測機器が使用されることもあります。ただし、インスペクションはあくまでも目視を主体にした検査であり、欠陥の無いことを保証するものではありません。
インスペクションの効果
インスペクションに合格した場合は、設定価格による売却を主張できるようになります。一方、不合格だった場合は、修繕処置や売却価格の変更を検討しなければなりません。インスペクションが不合格だとしても、買主との交渉次第で売却できないわけではないですが、合格した住宅の方が売りやすいのは事実です。
インスペクションの合格のメリット
インスペクションの合格には主に以下の3つのメリットがあります。
- 設定価格での売却
- 売主・買主への安心感の付与
- 既存住宅売買瑕疵担保保険の付帯が可能
設定価格での売却
インスペクションに合格した住宅は設定価格の正当性が認められた証でもあるため、スムーズな売却が可能になります。
売主・買主への安心感の付与
民法の改正によって契約不適合責任の規定が設けられたことで、売主にはより強い責任が課せられるようになりました。
インスペクションにおける合格を取得すれば、売買契約書にその旨を記載できるため、瑕疵に対する心配が減少します。つまり、売主と買主共に安心感を得られます。
既存住宅売買瑕疵担保保険の付帯が可能
インスペクションの合格によって、既存住宅売買瑕疵担保保険(通称、瑕疵担保保険)に加入できます。瑕疵担保保険に加入すると、仮に瑕疵が発見された場合は修理費用が保険から補償されます。
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